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2014 年度 実績報告書

西アフリカにおける生権力の複数性:ガーナ南部における結核対策を事例に

研究課題

研究課題/領域番号 25884095
研究機関国立民族学博物館

研究代表者

浜田 明範  国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 機関研究員 (30707253)

研究期間 (年度) 2013-08-30 – 2015-03-31
キーワード結核 / 生権力 / ドキュメント / 薬剤 / グローバルヘルス / 医療人類学 / ガーナ / 西アフリカ
研究実績の概要

本研究の最終年度にあたる2014年度は、当初の計画通り、ガーナ南部の農村地帯において現地調査を実施した。具体的な成果として、以下の3点が明らかになった。
まず、結核治療においては、毎日欠かさず、決まった時間に薬剤を服用することが求められるが、ガーナにおいては、必ずしも国際的に標準化されているように看護師の面前で薬剤が服用されているわけではない。これは、看護師の怠慢というよりは人員不足のためである。このような、標準的な治療の失敗の結果、患者はむしろ主体的に薬剤を服用する必要性に駆られており、配布される服薬チェックシートは患者の主体化を支える重要なツールとなっている。
次に、結核患者を取り巻く人間関係の再編成は、部分的には、乳幼児との接触を避けるように促す結核対策の影響と言えなくもないが、それにもまして、患者の経済状況や患者の家族によるより良い生の希求に影響されていることが明らかになった。長期の治療を必要とする結核は、貧困と負のスパイラルを起こすことが多く、治療の成否は経済状況と密接に関連する。そのため、患者がどのような規模の家族の中でどのような役割を担っているのかが治療にとって重要になるのだが、この家族の状況は、患者自身だけでなく、他の家族の希望によっても変更され続けていた。
最後に、ガーナにおける結核対策における「生かすべき者」と「死ぬに任せる者」の選別は、結果的に、担当看護師の本気度や柔軟さ、経験に依存していることが明らかになった。結核対策を担当するコミュニティ・ヘルス・ナースには、患者を早期発見するためにコミュニティを巡回することが推奨されているが、その他の感染症対策や乳幼児健診も担当する看護師達には十分な時間が与えられていない。そのため、結核患者へのケアの質は、個々の看護師の性格や経験に依存することになっている。

現在までの達成度 (段落)

26年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

26年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (5件) (うちオープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 書き換えの干渉:文脈作成としての政策、適応、ミステリ2015

    • 著者名/発表者名
      浜田 明範
    • 雑誌名

      一橋社会科学

      巻: 第7巻(別冊) ページ: 125-150

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 薬剤から見る西アフリカの医療:医療人類学の視点から2015

    • 著者名/発表者名
      浜田 明範
    • 雑誌名

      THE LUNG perspectives

      巻: vol. 23 ページ: 95-97

  • [雑誌論文] アフリカにおける薬剤の流通と副作用:ガーナ南部のカカオ農村地帯を事例として2014

    • 著者名/発表者名
      浜田 明範
    • 雑誌名

      落合雄彦(編)『アフリカ・ドラッグ考:交錯する生産・取引・乱用・文化・統制』、晃洋書房

      巻: なし ページ: 169-190

  • [雑誌論文] Payment and Milieu of Mutual-Aids: The National Health Insurance Scheme and Multiple Cares in Southern Ghana2014

    • 著者名/発表者名
      Akinori HAMADA
    • 雑誌名

      Mohasci Gergely (ed.), Ecologies of Care: Innovations through Technologies, Collectives and the Senses. Readings in Multicultural Innovation, Vol. 40. Doctoral Program for Multicultural Innovation.

      巻: なし ページ: 161-177

  • [雑誌論文] Medical Technology as Cultural Interface2014

    • 著者名/発表者名
      Akinori HAMADA
    • 雑誌名

      Heung Wah Wong and Keiji Maegawa (eds.) Revisiting Colonial & Post-Colonial: Anthropological Studies of Cultural Interface. Los Angeles: Bridge21.

      巻: なし ページ: 283-305

  • [学会発表] 環境の書き換え:ガーナ南部における結核と複数の統治2014

    • 著者名/発表者名
      浜田 明範
    • 学会等名
      京都人類学研究会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2014-05-30
    • 招待講演
  • [学会発表] Payment and Milieu of Mutual-Aids: The National Health Insurancce Scheme and Multiple Cares in Southern Ghana2014

    • 著者名/発表者名
      Akinori HAMADA
    • 学会等名
      The International Union of Anthropological and Ethnological Sciences Inter-Congress 2014
    • 発表場所
      幕張メッセ
    • 年月日
      2014-05-08
  • [図書] 薬剤と健康保険の人類学:ガーナ南部における生物医療をめぐって2015

    • 著者名/発表者名
      浜田 明範
    • 総ページ数
      220
    • 出版者
      風響社

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公開日: 2016-06-01  

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