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2013 年度 実績報告書

フランス家族政策のサービス給付における政治的戦略の研究

研究課題

研究課題/領域番号 25885001
研究種目

研究活動スタート支援

研究機関北海道大学

研究代表者

千田 航  北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 助教 (80706747)

研究期間 (年度) 2013-08-30 – 2015-03-31
キーワード福祉政治 / 家族政策 / フランス
研究概要

平成25年度は、フランス家族政策の多様なサービス給付を提供する政治的戦略としての「自由選択」の解明をするため、家族政策や福祉国家のフランス語文献を講読するだけでなく、福祉国家全体の文脈からもフランス家族政策の位置づけを考えるために英語や日本語の文献も購読した。そのなかで、フランス家族政策のサービス給付がサービスの拡充のみならず現金給付での支援も展開してきたことから、既存の現金給付における「自由選択」との相互依存関係を読み取ることができた。
こうした事実を確認するために平成26年2月にフランス国立図書館を訪問し、全国家族手当金庫の資料を閲覧・収集することになった。その結果、1980年代のサービス給付の拡充が女性の労働市場参加に伴う保育ニーズの増大に追いついておらず、全国家族手当金庫が直接介入するかたちでの現金給付による支援が1990年代以降増大していったことがわかった。
以上の事実は、1980年代前半に保育サービスの供給が分権化され、地方がサービス給付の供給主体となるなかで展開されてきた。ただし、全国家族手当金庫は1980年代の分権化にあってもサービス給付の財政支援の仕組みは中央に残し続けることで影響力を保持し続けた。こうした仕組みの中でも女性の労働市場参加に伴う保育ニーズに対してサービス給付の提供が追いつかず、さらなるサービス給付の拡大が必要とされていた。その際、全国家族手当金庫が注目したのは認定保育ママ制度であり、人的資本への投資に重点を置く認定保育ママ制度の直接的な現金給付を1990年代に拡大させることで保育ニーズを充足していくことになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請時の研究計画以上に研究が進み、平成25年度の時点でフランス国立図書館に赴き資料収集を行うことができた。しかし、サービス給付の拡充が現金給付によって支援される過程において生じる中央―地方関係の変容については十分な検討ができていない。

今後の研究の推進方策

本年度は前年度にフランスで行った資料収集の整理を行い、サービス給付の政治的戦略の実態を精査するとともに、その資料から出てくる疑問や問題点を深化させるために夏に再びフランス国立図書館で資料収集を行う予定である。
特に、前年度までに達成できなかったサービス給付における中央―地方関係の変容について重点的に検討する必要がある。そのためにはフランスの地方自治に関連する研究を展開させていき、特に家族政策に関連した分権化と集権化の関係を整理していく。
こうした2度にわたってフランスで収集された資料や文献による研究によって、多様なサービス給付を提供するための政治的戦略としての「自由選択」の存在が明確になるであろう。また、サービス給付に関わるアクターにも「自由選択」が達成すべき目標として共有されたことを明らかにしていく。地方政治においても「自由選択」の保障が避けられない課題として位置づけられてきたことを実証的に示していく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 家族政策における合意形成とは何か―フランスの事例から―2013

    • 著者名/発表者名
      千田航
    • 雑誌名

      生活経済政策

      巻: 1999 ページ: 26-30

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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