研究課題/領域番号 |
25885017
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大嶌 竜午 千葉大学, 教育学部, 特任助教 (40700414)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 実験活動 / 変数同定 / 科学的探究プロセス / 認知的プロセス |
研究概要 |
本研究の問題意識は,見通しや目的意識をもち「自分の予想をもとに観察や実験の計画を立てている」生徒は多くないにも関わらず,このような状況を改善するための指導方法が確立されていない点にある。本研究の成果は,実験活動において変数を検討させるための視点を提示するものであり,生徒自身が実験方法や実験データの妥当性を吟味し,主体的に実験活動に取り組むための指導方法に対して示唆できるものである。以上を踏まえ,平成25年度には以下について取り組み,明らかにしてきた。 第一に,科学的探究プロセスの指導に特化した指導教材を収集し,それらを生徒の認知的発達の促進という観点から分析することによって,分析した指導教材に見られる「実験活動における変数同定の指導方法」を抽出した。具体的には,生徒実験の指導において,変数同定は,変数が同定されることが最終的な目的では無く,変数同定という科学的探究プロセスを通して実験活動を見る枠組みを生徒に構築させることが目的であることを指摘した。 第二に,分析した指導教材では,変数の連続性の同定までもが変数同定に含まれていたことを見出した。変数の連続性の同定により,実験活動の基礎となる独立変数と従属変数から,実験方法を検討させるプロセスとして指導されていたのである。 第三に,変数同定等科学的探究プロセスそれ自体を指導することの限界を踏まえ,それを克服するために,当該実験活動において変数同定をする必然性のある文脈が設定されていたことを見出した。 以上の指導の特質を踏まえ,中学校第一学年及び第二学年を対象に,変数同定に関する認識調査等を行った。この調査結果は,現在分析中であり,平成26年度には,この結果を基に,日本の理科授業に適切な変数同定の指導方法を開発し,評価する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画では,他の研究者とともに指導教材の分析結果を議論するとしていたが,平成25年度には,他研究者との議論を基に,現職教員と分析結果や実験活動の指導方法改善のための具体的な指導方法等について議論を重ねることができたため,平成26年度に行う生徒の実態調査の分析方法や指導方法開発のための留意点を既に挙げることができたからである。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度には,変数同定に着目した具体的な指導方法を提案する。多様な要因が交錯する教室において,要因を明確にし,その結果が明確に出るための指導方法や調査方法を開発し実施することは容易ではないが,本研究の第一人者であるロス・ロバーツ氏ら他の研究者との議論を通して進めることにより,ゴールの明確化と,各研究プロセスの達成期限を設定することで,研究のさらなる推進を図る。
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