研究実績の概要 |
本研究の問題意識は,見通しや目的意識をもち「自分の予想をもとに観察や実験の計画を立てている」生徒は多くないにも関わらず ,このような状況を改善するための指導方法が確立されていない点にある。本研究の成果は,実験活動において変数を検討させるための視点を提示するものであり,生徒自身が実験方法や実験データの妥当性を吟味し,主体的に実験活動に取り組むための指導方法に対して示唆できるものである。以上を踏まえ,平成26年度には以下について取り組み,明らかにしてきた。 第一に,変数同定に関する生徒の理解状況に関する調査の結果を分析した。その結果,生徒は,操作として概ね良好に変数同定をすることができるが,実験活動における変数同定の重要性の理解等,変数同定に関する理解面に課題があることを明らかにした。 第二に,実験計画場面における生徒の変数同定能力の運用方法を探るため,中学生を対象に調査を行った。調査対象とした単元は,中学校第一学年「力の大きさとばねののび」であった。調査の結果,自ら変数同定をした方が,実験活動にの動的に取り組むことが明らかになった。 第三に,日本およびシンガポールの理科教育学会に参加し,変数同定の指導方法に関する研究についての情報収集を行った。また,本研究の調査結果を,それぞれ変数同定の操作の側面と認知的側面から,共同研究者の英国ダラム大学のRos Roberts氏との連名で公表した。
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