研究課題
本年度は、自閉スペクトラム症者のコミュニケーション空間の特性理解に関して、前年度の主な成果であるASD者のパーソナルスペースのデータの再分析を行った。結果は、ASD者は他者及び人ではない物に対して取る距離が定型発達者よりも短いという結果が得られた。また、ASD者も定型発達者も他者とアイコンタクトがある時にそうでない時よりも対人距離を長く取る傾向が見られ、パーソナルスペースに関して、定型発達者と同様、ASD者は他者の視線手がかりを用いていることが明らかになった。この結果は、パーソナルスペースの個人差に着目し、定型発達者とは異なるかもしれないASD者のパーソナルスペースを尊重することで、両者のコミュニケーションがより円滑に進む可能性を明らかにしたという点で重要である。この研究は既に論文草稿執筆と英文校閲が終了し、現在論文投稿の最終段階にある。この研究から派生して、ASD者のパーソナルスペースの特性に影響している要因を検討するため、自己のボディイメージの範囲について新たな実験を行った。その結果、ASD者も定型発達者も自分の肩幅を実際の大きさよりも大きく見積もるが、その傾向はASD者で大きいことが分かった。この結果は、これまで検討されてこなかったASD者のボディイメージの特性を実証的に検討したという意味で重要である。この成果に関し、日本発達心理学会第26回大会にてポスター発表を行った。加えて、本課題のテーマであるASD者のコミュニケーション空間の特性理解に資するASD者の会話のパターンの研究に関して国際自閉症研究会議にてポスター発表を行った。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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