本研究は、近年その理論的射程の広さから再評価されはじめているヘルムート・プレスナーの理論研究を中心に進めた。人間は身体の二重性ゆえに本性的に不安定な存在であり、そのために安定を図るための文化や技術の創造に方向付けられているということを理論的に描き出した。このような文化観に基づき、教育と存在の安定の関係について歴史的かつ理論的に分析した。社会における緊張や矛盾が、教育という媒介を通して身体において先鋭化され、存在の安定を失わせている状況が見られることから、教育を存在の安定のために資するものとして位置づけ直す必要を浮き彫りとした。
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