研究課題/領域番号 |
25885033
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
横山 泉 一橋大学, 国際・公共政策大学院, 講師 (30712236)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 賃金硬直性 |
研究概要 |
本研究は、賃金硬直性の新たな理論モデルを構築することにより、好況期と不況期の比較において、特に不況期の賃金が下方硬直的となる理由を解明することを目的とする。本研究では、Bewley(1999)の近年の大規模なフィールドサーベイの結果を基に、新たな理論モデルを構築し、日本のパネルデータを用いた実証分析を行ってきた。 平成25年度中の具体的な活動としては、平成25年10月4日の東京労働経済学研究会、平成26年1月23日の大阪大学経済学研究会、平成26年2月21日のContract Theory Workshop Eastにおいて、本研究の成果物である"Why Do Wages Become More Rigid during a Recession Than during a Boom?"の論文を報告した。 そこで頂いたコメントを基に改訂作業を進め、平成26年2月の末に英文校閲を受けた後、本論文の完成版を作成した。平成26年2月末にドイツのIZA Workshopに本論文を応募し、平成26年3月に採択されたため、平成26年6月9日、10日にドイツで行われるIZA Workshop "Wage Rigidities and the Business Cycle: Causes and Consequences"において本研究を報告することが決まっている。加えて、本研究をLabour Economicsに投稿し、現在はその回答を待っている。今後はレフェリーからの返事に応じて改訂作業を続け、出版に向けて尽力する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
多くの研究会での報告を経て、研究の方向性が早い段階で定まったことで、改訂作業が進み、学術雑誌Labour Economicsへの投稿も済ませることができた。平成26年6月にドイツで行われる国際的なカンファレンスに本研究の論文が採択されたことは、当初も予定しなかったことであり、国際的にこの研究の成果を発信する機会が得られたことは非常に意義のあることである。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年6月のIZA Workshopにおける報告や、投稿先の学術雑誌Labour Economicsのレフェリーからのコメントを基にさらなる改訂作業を続けていく。この論文の学術雑誌における出版が本研究の目標の一つであるため、平成26年度は上記の学術雑誌から出版許可を得られるよう、レフェリーからの指示に対応していく。加えて、本研究を中長期的にとらえ、この論文の出版のみにとどまらず、さらなる研究を継続し、他の論文にもつなげていく。平成26年度中に上記論文に関してLabour Economicsから出版許可が得られた場合は、現在の日本の文脈に重きをおいた理論モデルを、より国際的な文脈で解釈する次の研究を開始する。具体的には、アメリカのパネルデータであるPanel Study of Income Dynamics(PSID)を使用して、理論モデルの仮説を検証した推計の日米比較を行う。文脈を日本以外の国に拡大することによって、理論モデルにも変化を加える必要が生じることから、この新たな論文の執筆に際し、引き続き、ミシガン大学のCharles Brown教授、James Hines教授、Mel Stephens准教授、Mary Corcoran教授からEメールやスカイプを通してアドバイスを請う。
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