グローバル競争時代を迎えて、大都市に限らず、中小都市においても国際競争力の構築が課題となっている。そのヒントがフィンランドの地域政策にある。同国では、多様で多数の成長拠点を全国的に設立し、これを拠点間ネットワークの下で育成する戦略が試みられてきた。本研究は、こうした拠点戦略の展開過程とその現状分析を中心とする。その結果、近年の経済危機を背景に拠点振興政策は縮小傾向にある一方、地方圏の中小都市でも独自の産業拠点として発展した例も見られる。また政策展開過程を紐解くと、各地域の多様な経験が全国的制度の進化をもたらす関係があり、地域の政策論的意義に関する示唆も得た。
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