研究課題/領域番号 |
25885041
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
藤井 佑介 福井大学, 教育学研究科(研究院), 特命助教 (20710833)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 協同学習過程分析 / GD表 / 逐語記録 / SCAT / 教育方法学 |
研究概要 |
本研究の目的は、近年、教育現場にて広く取り組まれている協同学習の過程分析に関するモデルの開発と実証を教育教育方法学的接近を通して行う事である。そのために、2013年度は基礎研究として、これまで開発してきた協同学習分析ツールの再検討とそれに基づく教育方法学的接近による学校現場への寄与性に関する研究を行った。 (1)まず、協同学習におけるケアの在り方を文献やこれまでのデータを参考としながら再検討した。結果として、協同を支えるケアの在り方は教師だけではなく子ども・生徒同士にも存在するという視点を得ると共に、逐語記録とビデオ記録からそれらの機能をカテゴライズすることで、理論的整理を行った。 (2)さらに、逐語記録を一見して把握できる表として開発したGD表(group discussion diagram)の再検討を行った。3月に福井市内で協同学習を用いた授業のデータを取り、新たなGD表の作成を行った。新たに加わった要素は大谷尚(2007)が開発したSCAT(Steps for Coding and Theorization)を用いたグループ検討内容の概要明示とBerkowiz&Gibbs(1983)を改変した高垣(2004)によるカテゴライズを参考とし、発話ごとのカテゴライズを行った。これまでのGD表は時系列と発話者順を現したものに過ぎなかったが、新たに開発したGD表では発話内容も把握することができるようになった。これは教育現場への直接的寄与に大きく影響するものである。GD表は豊富な情報量を持つ逐語記録を可視化・縮約化することで、授業者が授業内で把握できなかった点を省察するための資料となる。 以上、2013年度の研究成果として得られた知見は、協同学習に関するケアに関する視点の変容と、逐語記録の可視化と縮約化の質を高めることで、教師の力量形成や授業改善への示唆を得られたことである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、教育現場において取り入れられている協同学習に関して、教育方法学的接近による分析ツールの開発と再検討を行うことができた。具体的には協同学習におけるケアの在り方について再検討を行い、結果として新たな分析視点の析出ができた。これは研究者や授業外の第3者が協同学習のおける各グループの逐語記録を検討する際の一つの視点となる。さらに、新たに収集した授業データを基にGD表の再検討を行うことで、授業者が授業や実践の省察に資するための資料の開発を行うことができた。 これらの成果は学会発表や投稿論文としてまとめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
実践研究として協同学習分析モデルの実施と実践的意義の探究を行う。研究者、教師、生徒による協同学習分析を実現するために、データの蓄積に加え、適宜修正を行っていく。一年間に研究対象中学校にて数回のデータ収集と分析結果の還元を行い、モデルの洗練を図っていく。さらにそれらの成果を関連学会で発表し、論文として執筆していく。
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