研究課題/領域番号 |
25885043
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
河野 桃子 信州大学, 全学教育機構, 講師 (10710098)
|
研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
|
キーワード | 国際情報交換 / ドイツ / 道徳教育 / シュタイナー教育 |
研究概要 |
1. 理論的検討【H25.9月~H26.3月】 本研究は、「シュタイナー教育」の思想と実践に関する日独国際比較を通じて、教師における、人間の「超越」的な部分(目に見えない部分)への志向がもつ道徳教育的意義を明らかにするため、シュタイナー教育に特有の実践である「治療オイリュトミー(オイリュトミー療法)」に着目している。理論的検討としては、以下のことを行った。(1) 「治療オイリュトミー(オイリュトミー療法)」についての基本的な知識を、シュタイナーの講演録をもとに整理した。(2) 日本の道徳教育に関する議論のなかで、「超越(性)」がどのように論じられてきたかを整理した。(3) 上記(1)、(2)をもとに、論文を執筆した。(4) 下記インタビュー調査・参与観察の成果、および収集した資料を理論的に検討した。 2. インタビュー調査・参与観察【H25.12月/H26.2月】 (1) 藤野シュタイナー学園にて、オイリュトミー療法士である樋原裕子先生、オイリュトミストである秦理絵子先生と打ち合わせを行った。(2) 藤野シュタイナー学園にて、樋原先生にインタビュー調査を行った。また、授業に入らせていただき参与観察を行った。(3) ドイツのベルリン・メルキッシェスフィアテル・シュタイナー学校にて、オイリュトミー療法士であるホリング先生にインタビュー調査を行った。また、授業に入らせていただき参与観察を行った。同じくドイツのボン・アラヌス大学にて、オイリュトミー療法士を養成しているヴァイスキルヒャー先生とその指導生にインタビュー調査を行った。また、授業に入らせていただき参与観察を行った。現地でしか入手できない資料を、人智学図書館にて収集した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的について、本研究では、①治療オイリュトミスト(オイリュトミー療法士)が、人間の「超越」的な部分を実践の場でどのようにイメージしているのか、②そうした「超越」的な部分への志向が、養成課程でいかに形成されているのか、③その授業を受けた児童・生徒がどのように変化するのか/しないのか、を明らかにすることとしていた。このうち①、②については、順調にインタビュー調査・参与観察を進めることができており、また次年度の約束も取り付けているため、「おおむね順調に進展している」を選択した。ただし③については、日独ともに、実際に授業を受けている児童・生徒にインタビュー調査を行うことは(時間的に・申請者との関係性という点で)難しいと判断されたため、今回の調査では断念することとした。
|
今後の研究の推進方策 |
上述の通り、③の課題については、今回の調査では断念することとした。また、研究課題名に使用した「治療オイリュトミー」という呼び名は、近年、「オイリュトミー療法」に移行してきているということが分かったため、今後は、研究課題名以外では「治療オイリュトミー(オイリュトミー療法)」もしくは単に「オイリュトミー療法」と表記する。 これ以外の点については、当初の予定通り、1.理論的研究(4月~12月)、2.藤野シュタイナー学園でのインタビュー調査・参与観察(6月~3月)、3.学会発表(8月)、4.ドイツのシュタイナー学校およびスイスのオイリュトミー療法士養成機関でのインタビュー調査・参与観察(9月)、5.報告書の作成(1月~3月)、6.著作(共著)での成果公表(3月)、7.学内紀要に論文投稿(3月)、を行う。
|