感情表情の素早い検出における行動・神経基盤を明らかにするために、複数の中性表情の中からひとつの感情表情(怒り・幸福)または中性感情を表す統制刺激である逆表情を検出する視覚探索課題を用いた二つの研究を行った。まず、定型発達者を対象とした脳波研究により、刺激呈示約200~400ミリ秒後に後頭領域に励起する早期陰性変動(early posterior negativity; EPN)が感情表情の素早い検出に関与していることを明らかにした。次に、広汎性発達障害者・定型発達者を対象とした行動研究により、広汎性発達障害が定型発達者と異なる、情動要因によらない表情検出のパターンを示した。
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