今年度は,主に税制とM&A研究に関して制度要因の整理とデータの解析を進め,予備結果の研究報告を複数回行った.今年度の補助金は、主に上記の研究を遂行するための資料収集と機材に当てられた。
税とM&A研究の実証分析では,企業同士のマッチング度を考慮し,企業業績の相関関係など,企業ペアのデータ構築をおこなっている.共同研究者のカリフォニア大学サンディエゴ校のゴードン教授とはメールを活用し研究についての打合せを継続している.2013年度に神戸大学で予備調査を報告した後,2014年5月に東大・阪大合同研究会で報告し,2015年2月に京都大学の研究会で報告した.研究報告からのフィードバック得ながら推計アプローチの再考を進めている.M&Aにかかわる税制などの制度要因は非常に複雑であるが,企業のM&A行動に一見関係ない個人所得税など,複雑な相互作用を整理を進めた.昨年度は分析単位として3-4年を1期間とするデータを構築したが,1年を一期間とするデータも構築した.期間毎に平均5百万ペアにももぼる膨大なデータであり,計測・処理に時間を要する.個々の制度変化をより繊細に活用するため,これまで収集してこなかった企業毎の株主情報の収集もすすめた.主に前年度の補助金で購入した最新鋭ワークステーションと6コア対応の統計分析ソフトを活用して研究をすすめている.同時に,グループ税制導入の研究では,昨年度購入したデータの整理をすすめている.
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