研究概要 |
互いに助け合う社会を大規模な集団で形成するのは、人間社会の大きな特徴である。大規模な集団で互いに助け合う社会を形成し維持するためには、他者から搾取されるのを防ぎ、特定の他者に対して選択的に向社会的行動を示すことが重要になる。特に、相手の以前のやり取り相手の特徴に関する情報 (二次情報) も含めた選択的な向社会的行動が不可欠であることが指摘されている (Leimar & Hammerstein, 2001; Panchanathan & Boyd, 2003)。本研究では、成人で実証されている理論と対応した、二次情報に応じた選択的な向社会的行動が幼児期にどのように発達するのかを調べ、その発達的起源を検討することを目指している。 平成25年度は二次情報に応じた選択的な向社会的行動を検証するための実験を行う準備を進めた。具体的には、実験で用いる実験器具を準備し、予備実験を行った。当初の計画では5名の実験者が二次情報を含んだ内容の劇を実演し幼児の反応を測定する予定であったが、実験者が担う役割をパペットで代用することに変更した。実験者1名がパペット5体を使って二次情報を含んだ内容の人形劇を提示し、その後、どのような属性をもったパペットに対して幼児が向社会的行動を示すのかを調べた。予備実験を通して、パペットを用いることの有用性や実験手続きの流れを確認することができた。今後は引き続き、より多くの対象者に対して本実験を行う予定である。
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