研究課題/領域番号 |
25885053
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中井 悠加 広島大学, 教育学研究科(研究院), 特任助教 (40710736)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 詩 / 創作指導 / イギリス / 読み書き関連 / 交流活動 |
研究実績の概要 |
平成25年度の研究では、主としてイギリスの詩教育(特に、読むことと書くことの関連指導)と作文教育、ライティング・ワークショップに関する理論について検討を行い、また詩を含めて自分がこれまで書いてきたものについてのクラスでの話し合いの記録と考察を行った。 理論的検討においては、イギリスの詩教育論・詩創作指導論・ライティング・ワークショップに関する文献を収集・分析し、詩の授業における具体的な活動の枠組みについて考察を行った。その中でも今年度は読む力および読む活動と創作の力・創作の活動との関連性について焦点を当て、その指導に関する文献を翻訳し、分析・考察した。その成果については、「詩の学習指導(中学校)」『教師教育講座第12巻 中等国語教育』という題目で公表することができた。 また、イギリス・レスター大学にて行われたPGCE(一年制教職課程)の学生による交流場面についての記録を収集・分析した。その交流では、自分たちが蓄積してきた詩のポートフォリオを4~5人のグループで共有し、ディスカッションを行いながら自分の書いたものを修正していく過程についての記録を収集することができた。さらに、自分の書いたものを共有することに対する躊躇いとその克服というキーワードを得て、交流の中でお互いに「自信を付け合うこと」を意識することの重要性についての示唆を得ることができている。授業における交流を実現するためのハードルとして課題となる、「共有への躊躇い」と書いたものの存在自体がその克服の鍵となるような指導アイディアを提案した文献についても収集を続け、さらに考察を加えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
イギリスにおける現地調査が協力者側の都合により平成25年度内に行うことができず、また調査対象が小学校の子どもたちによる交流ではなく大学生の交流に変更があったことによる。その変更によって新しい視点を得ることはできたが、熟達者ともいえる大学生の能力と小学校段階の子どもたちの能力との差を新たに考察要素として加える必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き詩の創作を行う授業における「書く場面」以外の子どもたちの活動と交流の様子に焦点をあて、そこで生じる学習過程の把握を実現するための学習方法について検討を行う。そのために、そうした活動が子どもたちの学びに対して持つ意義を探るために必要な詩学・言語学・詩教育論・国語教育論・作文指導論に関する国内外の文献が一定量必要となる。 また、イギリスにおける授業論についての情報収集を行うため、NATEカンファレンス(National Associate of Teaching English: 全国国語教育学会)に参加する。そのため短期的にイギリスに赴く。
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