本研究では、第二次世界大戦中の米国において人文・社会科学者が取り組んだ戦時協力の実態の解明を進めた。現地アーカイヴ資料の読解を通じて明らかになったのは、1940年の夏ごろまでに、人文・社会科学の関係者が様々なネットワークを作り、米国が欧州戦線へ参加するよう訴えるとともに、来るべき戦時体制に備えて人文・社会科学の学知を活用するよう訴えていた事実である。とりわけ米国東海岸の大都市での事例として、ボストン都市圏を拠点とした〈アメリカ防衛・ハーヴァードグループ〉ならびにニューヨーク都市圏を中心に活動した〈コミッティ・フォー・デモクラシー〉における「ナショナルモラール」動員努力の形成過程に注目した。
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