研究課題/領域番号 |
25885063
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
竹岡 志朗 大阪市立大学, 経営学研究科, 特任講師 (70711555)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 経営学 / イノベーション / テキストマイニング |
研究概要 |
本研究は、イノベーションの普及過程を明らかにし、その過程を可視化する方法を構築することを目的としている。イノベーションの普及過程を可視化する方法が必要とされる理由としては、イノベーションの普及過程における現状認識の難しさ、つまり企業自体の立ち位置とその企業が開発する商品の市場における位置づけの把握の難しさがある。この問題を克服するためには、イノベーションの普及過程を目に見えない現象から、見えるものへ、理論的に裏付けられた方法で可視化する必要がある。 イノベーションの普及過程を可視化する方法としては、S字曲線のように、商品カテゴリーの普及率に基づくものがある。この方法は、普及率という特定の製品の採用数を集計したマクロな指標によって、消費者のイノベーションの受容という過程を代理したものであり、現象が生起する裏にある消費者の行動は、それらの数字に基づいた推論、あるいは、インタビューなどの異なる方法と組み合わせることによる裏付け的な調査によって可能となる。 一方、本研究では、インターネット上のクチコミデータを分析することで、消費者の商品に対する認識を分析する。つまり、本研究が採用する方法は、消費者のイノベーション受容の過程を、消費者の認識をもとに可視化することが可能である。これによって、これまではマクロな普及という現象の背後に隠れることの多かった消費者の選択や認識が分析の対象となり、これまでの普及研究とは異なる、消費者視点の普及過程を明らかにすることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
9月の決定後、研究協力者の支援もあり、25年度に行う予定となっていたものは達成されている。
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今後の研究の推進方策 |
26年度は、25年度に収集したデータの分析、仮説の構築、そして、実務家がテキストマイニングを用いてイノベーションの普及過程を分析できる形への分析方法の定式化である。具体的には以下の事を行う。 第一にイノベーションの普及過程における連続性と非連続性の調査をおこなう。分析事例には、フィーチャーフォンとスマートフォンを使用し、それらの間にある連続性と非連続性を消費者の視点から明らかにする。予備的調査で対象としたデジタルカメラは、その普及の初期、つまりフィルムカメラからデジタルカメラへの移行時期がインターネット普及の初期と重なっており、十分なデータがインターネット上には存在しないという問題があった。しかし、調査対象をスマートフォンとすることで、この問題は解消できることから、今回の調査の中で、連続性と非連続性について明らかにしたいと考えている。 第二に、本研究が採用した分析方法のツール化を行う。本研究で採用する方法は、消費者の視点から普及の過程を明らかにするものであり、分析の中では、消費者が商品をどのように理解し、語っているのかがあらわれる。分析の過程で得られるこれらの情報は、新商品開発において重要な指針となりうる。以上の点から、本研究の中では、採用した方法を意思決定支援ツールとするべく、方法の定式化を行う。 26年度も研究協力者の協力のもとに、研究を行っていく。
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