本研究では、日本における少子化と高齢化の同時進行、ソーシャル・メディアの普及と進展を背景として、高齢者と若者の消費者行動に対するくちコミ(クチコミ、口コミ)や社会ネットワークの影響力について研究を行った。 平成26年度は、消費者の情報源における商業的くちコミと非商業的くちコミの混在、ソーシャル・メディアの進展とくちコミ・マーケティングの倫理、ソーシャル・メディア上の発信する消費者によるネット告発とコンシューマリズム、若者層をターゲットにしたティーザー広告と顧客志向の問題などを検討した。 文献研究では、社会学や社会心理学、消費者行動研究、マーケティング研究におけるくちコミの概念定義とその概念拡張、くちコミ・マーケティングの定義と戦術の類型および事例、インターネット社会におけるマーケティング・コンセプトとコンシューマリズムの生成・発展過程、発信する消費者によるネット告発と消費者問題などを検討した。 実証研究では、高齢者の単独世帯や夫婦のみの世帯において、インターネット上の非対面的なくちコミよりも、家族や友人からの伝統的で対面的なくちコミのほうが、対人的影響力が大きいという調査仮説を検証した。本研究では、首都圏在住の60歳から69歳までの男女400名を調査対象に、くちコミの受発信と主な情報源、信頼性の高い情報源、携帯電話とパソコンによるインターネット上の消費者行動、家族や友人、知人などの社会ネットワークからの消費者行動に対する対人的影響力に関する定量調査を実施した。 さらに、平成26年度は、高崎商科大学紀要第29号の論文、日本広告学会第45回全国大会や日本消費経済学会第39回全国大会、日本消費経済学会第40回全国大会の学会発表により研究成果を発信した。現在、日本広告学会や日本消費経済学会、日本経営診断学会などの学会誌への論文投稿を進めている。
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