研究課題/領域番号 |
25885069
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
荘島 幸子 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 講師 (70572676)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | クエスチョニング / 生態学的システム / 発達 / セクシュアリティの揺らぎ / 質的調査 |
研究概要 |
本研究の目的は、青年期および成人期における自己のセクシュアリティ(性自認や性指向)のステータスが「未定」から「確定」へと辿る発達過程の一端を明らかにすることである。本研究は、今後の大規模縦断研究のための基礎研究に位置づけられている。具体的には、インタビュー調査により、ヴァリエーションある発達過程を丁寧に記述し、セクシュアリティに揺らぎをもつクエスチョニングの生態学的システムを質的に解明することを第一の目的とした。そして、今後の大規模研究のための質問項目を練り上げることが第二の目的であった。 昨年度の研究実施計画においては、倫理審査委員会からの承認を得たうえで、1.調査協力者のリクルート、2.インタビューガイドの作成、3.インタビューの実施、4.関連研究のレビューの4点が計画されており、いずれも遂行された。1.リクルートは、以前から研究協力関係にある協力者に再度依頼を行った。また自助グループや性的マイノリティ者を中心としたイベントなどにフィールドワークを行い、随時協力依頼やアンケートを行った。現在の日本社会における性的マイノリティ者の行動の変化をキャッチするよう努めている。3.インタビューガイドの作成は、5.レビューをもとに作成を行った。4.インタビューの実施では、これまで数名へのインタビューを終了した。雪だるま式リクルートも同時に行っている。 本研究の意義は、「セクシュアリティの決定は時間経過を含み、他者との関係性や環境との相互作用により生じる」という構成主義的仮説(荘島, 2008)に基づき、その有様をインタビューの手法により、明らかにしようとする試みにある。性的少数者をそのカテゴリごと(LGBTのように)に分類するのではなく、セクシュアリティの揺らぎというポイント(発達の契機)に着目して時間的経過を含んで捉えなおすことは、発達研究にも一石を投じるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査協力者のリクルートおよびインタビュー調査はおおむね当初の予定通り継続的に進めることができている。面接調査では信頼関係を紡ぐことを最優先とし慎重に問いかけを行っているが、2時間を超えるような長時間にわたるインタビューにおいても、これまでのところ問題は発生しておらず、調査協力者に多大な負担感を与えるものではないと思われる。調査終了後に問題が起きたケースも生じていない。なお、当事者の語りの分析は今年度の主要な課題であり、協力者のリクルートと調査、分析を同時並行に行っていく予定である。またこれらの分析結果は夏に国際学会で、秋には心理系の学会で発表する予定である。上記の理由により、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策として第一にインタビュー調査と並行して、得られた語りデータの分析を進める。分析の重要な視点は、性別の揺らぎという時点とその後のプロセスである。これにより、セクシュアリティのステータスが「未定」から「確定」へと辿る発達過程を明らかにしていく。また、性別の揺らぎがみられた時点での生態学的システム(家族、学校、友人など)を解明し、重層的な理解を目指す。 第二に、得られた分析結果を検討し、質問項目を練り上げる。質問項目数は10~20個ほどになると考えている。この質問項目は、本研究に続く大規模縦断研究として予定されている青年期向けの質問調査票に取り込む予定の質問項目である。
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