小1プロブレムの解決のための一方策として、①幼稚園と小学校の教師の教授スタイルを比較し、教師の関わりから子どもにとってのよりよい小学校への適応のあり方を検討した。特に、言語性の促しに関しては詳細を分析した。また、日本のみならず、アメリカ(1校)、ベルギー(2校)での調査も行った。 その結果、日本では、幼稚園で相対的に自己発揮することが求められ、言語性も高いレベルで促しがされている一方、小学校1年生では学習規律が優先され自己抑制を求める傾向にあった。アメリカでは、幼小とも高い言語性の促しが見られ、自己抑制を求める傾向が強かった。言語性の促しの中でも、特に文字の読み書きに対する促しが日本・ベルギーに比べ、幼小共通して強く見られた。ベルギーでは、2校の傾向が分かれた。キリスト教系の公立学校では、日本と同様幼稚園で自己発揮、小学校で自己抑制を求める傾向が見られた。また言語性に関しては、幼稚園ではあまり高いレベルを求めず、小学校で高いレベルを求める傾向が見られた。フレネ式の公立学校では、幼小とも自己発揮することを求め、言語性の促しに関しては、どちらも高い促しが見られるものの、文字の読み書きに関しては、日本と同様、幼稚園では求めず、小学校から促されていた。 また、②『おおきなかぶ』の教材の取り扱いに関する教師の意識調査に関しては、幼稚園教諭に対する調査を終え分析中であるが、小学校教諭に関しては引き続き調査中である。幼稚園教諭に関しては、教材を言語性を促すものと限定せず、多様な力を総合的に育むことを企図し、さらに生活経験との結びつきの中で教材を生かす意識が強いことが明らかとなっている。
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