本研究の目的は、日本帝国の植民地である朝鮮および台湾の鉄道貨物輸送データベースを利用して、各地域間の物流構造と消費の地域的変容を明らかにし、それを比較することで両地域の特徴を明らかにすることである。特に、両地域における都市化の進展とそれに伴う都市と農村の分業関係の特徴に注目した。 (1)朝鮮は都市化が急速に進展し、また、気候や資源の賦存状況に関して地域間の差異が明確であった。その結果、都市と農村の分業が明確に進展した。(2)台湾では、都市化が緩やかに進展し、また、朝鮮と比較すると、地域間の差異が小さかった。その結果、都市と農村間の分業は植民地時代を通じてあまり進展しなかった。
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