共通した認知機能の低下が様々な精神病理傾向(不安・うつなど)を強めるか,異なった認知機能が個々の精神病理傾向に影響を及ぼしているか検討した。120名の大学生を対象に実験を実施した結果,視覚的ワーキングメモリ容量の多さは社会不安特性の高さを有意に予測し,また実行機能の低下は抑うつの強さを有意に予測し,複数の精神病理傾向に共通した認知機能の低下は見られなかった。また,ワーキングメモリおよび視覚探索訓練課題を1週間実施することで,他の認知機能や精神病理傾向に影響を及ぼすか検討した。結果,視覚探索訓練群において1週間のストレスの程度が強いほどワーキングメモリの質があがっている可能性が示唆された。
|