1、これまでの研究調査を通じて、枚方市香里団地を中心とした地域で配布されていた月刊の地域コミュニティ紙である『香里めざまし新聞』第1号(1960年9月4日)~第109号(終刊、1971年8月25日)およびその後継紙である『ひらから住民のとも』第1号(1971年10月1日)~第19号(1973年4月1日)を入手している。これらの地域紙には、香里団地を中心とした社会教育実践に関する記事が多く掲載されている。今年度は『香里めざまし新聞』『ひらから住民のとも』を通読し、同時代の香里団地の社会との接点で展開した社会教育実践について地域紙から事実を抽出し、全体の見通しをつけた。 2、1の作業を補足すべく、『月刊社会教育』に掲載されている枚方における社会教育に関連する記事を収集し、考察を行なった。 3、これまでの研究調査を通じて入手していた枚方市中央図書館、市史資料室に所蔵されている社会教育に関する資料や書籍、枚方市公報や市議会議事録などの行政資料を調査・収集し、分析を行なった。 4、1960年代から80年代にかけて展開された社会教育論、地域民主主義論の歴史的考察のための準備作業を行なった。室俊司の「婦人問題と社会教育」論を検討するべく、室の著作や論稿を収集した。また、思想の科学研究会の「戦後サークル運動史研究会」に参加し、1950年代から60年代にかけて刊行された『思想の科学研 会報』を輪読した。枚方市香里団地の住民運動の中心的人物であり、理論的支柱でもある大淵和夫は、1950年代から思想の科学研究会に参加している。輪読を通じて、大淵が『香里めざまし新聞』で展開することになる地域民主主義論の源流を明らかにすることができた。
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