本研究では、2001年から2006年にかけて日本銀行が採用した非伝統的金融政策が資産価格にもたらした効果について明らかにした。そこでは、量的緩和期間における金融政策ショックを識別する新しい手法が提案されている。本研究による発見は次の通りである。まず、量的緩和期の金融政策ショックに対する株式市場の反応は、経済理論が予想するものとは一致しなかった:緩和的な金融政策ショックに対して、株価は下落していた。さらに量的緩和期の金融政策ショックに対する株式市場の反応は、景気拡張期と景気後退期で非対称的であった。この株式市場の複雑な反応は、予想物価上昇率に対する不確実性の高まりと関係があることが示唆された。
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