本研究の目的は,個人内での比較を行うための一対比較モデルを提案することであった。従来の手法では,個人間比較が可能な対象に対する嗜好度を得ることができるが,「職業選択の動機」や「人生における価値観」のように価値や態度を測定する際には,個人内での対象の比較が重要となる場合がある。そこで,代表的な一対比較モデルであるシェッフェ法を拡張して,個人内分散を導入した一対比較モデルの提案を行った。シミュレーションの結果,提案モデルの母数を適切に推定できることが確認できた。また,実データの分析では,個人内分散(個人内標準偏差)を考慮することで,重要度の順位が同じ評価者の違いを把握できることが示された。
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