研究課題/領域番号 |
25885097
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
小林 勇人 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (10551096)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | ワークフェア |
研究概要 |
本研究の全体構想は、ワークフェアの実態を把握するとともに、その実態に基づいた政策評価を行う分析枠組みを構築することで、就労支援・所得保障政策の再構築を目指すことである。具体的な目的は、(a)ワークフェアの起源と性差別の仮説、(b)ワークフェアの起源と人種差別の仮説、(c)ワークフェア政策の実現過程、(d)ワークフェアの変容について、明らかにすることである。 平成25年度の研究実績の概要として、以下の四点が挙げられる。第一に、日本の生活保護改革について英語論文を執筆し、同改革はワークフェア的な方向で進展しているが、所得保障を拡充する必要があることを明らかにした。世界的に公的扶助の役割の重要性が増すなかで、日本の公的扶助の動向や展望について英語で発信することは重要な意義をもつとともに、ワークフェアの政策的含意を明らかにした社会的インパクトは大きい。 第二に、ワシントンDCの連邦議会図書館で資料収集を行い、(a)について論証するための一次資料(行政資料・議会資料)を獲得したことが挙げられる。これは本研究の核となる「ワークフェアの起源」を明らかにするうえで重要な意義を持つとともに、ワークフェアの政策評価を行うために有益な指針を与える。また同調査によって、(b)に関連する資料を部分的に獲得する一方で、(b)や(c)の資料の調査方法についてアドバイスを受け、平成26年度の調査にとって貴重な指針を得た。 第三に、イギリスの社会政策の入門書を翻訳するプロジェクトに参加し、雇用政策の章を翻訳することによって、社会政策全般のなかに位置づけながら就労支援のための分析視角を獲得した。 第四に、福祉社会学の入門書を刊行しワークフェアについて分かりやすい解説を行うとともに、東海地域ホームレス・生活保護研究会で発表を行う一方で、HPから情報発信するなど、研究成果を広く社会に還元した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度は大学教員に就任した初年度であったため、環境整備や教育に対して予想以上に時間がかかり、当初2回予定していたアメリカでのフィールドワークが1回しか行うことができなかったため、研究の達成度はやや遅れ気味である。 ただしフィールドワークで重要な資料や今後の調査指針を獲得することができたため、平成26年度の研究は順調に推進すると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画では、平成25年度に、アメリカでのフィールドワークをミシシッピー州とワシントンDCで2回行う予定であったが、上述の理由から、ワシントンDCでの調査1回のみとなった。 対応策として、平成26年度に実施予定のカリフォルニア州でのフィールドワークの調査とあわせて、ミシシッピー州でのフィールドワークも行う予定である。 加えて、当初の予定通りニューヨーク市でのフィールドワークを実施する予定である。 以上のフィールドワークで得た資料と、関連図書を総合的に考察することによって、単著の執筆を行う。
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