国際協力NGOは、広報や募金集め、会員・ボランティア募集、アドボカシー・キャンペーンなどを通じて、途上国における貧困問題の解決に向けた活動へと、先進国で暮らす人々を動員している。本研究は、こうした活動を通じてNGOが情報を発信する際、どのように「国際協力」を見せている(=フレームしている)のか、その特徴を比較分析から明らかにするものである。また人々を巻き込んでいく上で、どのような「国際協力」の見せ方が有効であるのかを検証する。
平成26年度は、前年度に構築したデータセット(日本、イギリス、台湾にオフィスを構えるNGO、6団体のウェブサイトに掲載されている内容をコード化したもの)を用いた比較分析を引き続き行い、学会発表を行った。写真を中心としたビジュアル分析を行った論文、他セクターとの連携への言及に着目した論文を発表したほか、平成27年度にかけては、アドボカシー・キャンペーンで着目する社会課題の比較分析、文章による説明ロジックの特徴を分析した論文を発表していく予定である(いずれも学会発表確定済)。
またどのような「国際協力」の見せ方が、実際の動員に効果的であるかを評価する方法を探る作業にも着手した。海外の先行研究やソーシャル・マーケティングに研究などを参考に利用可能な指標を検討したほか、国際協力NGOが実践の中で実際利用している指標、および効果測定に際して直面している困難を、研究会や聞き取り調査から検討、整理した。その過程において、実際の評価を行うに当たっては、組織内部の情報も含めた検討が望ましいことが明らかとなり、具体的な国際協力NGOと連携した研究の継続が望ましいと判断した。今後の連携に向けて、NGO数団体に打診、調整を進めて行く予定である。
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