本研究では、(1)死刑存廃論の再検討、(2)軍隊に関係する刑罰と一般刑罰との関係の分析、(3)植民地刑罰の笞刑にみられた痛苦懲戒主義についての検討という具体的な3点に注目して研究を行なった。 そこから、(1)死刑それ自体を肯定することと、現行の死刑制度をほぼそのままの形で存置することは分けて考えられること、 (2)戦争裁判の動向が1948年の死刑制度合憲判決に影響を与えていた可能性があること、(3)痛苦懲戒主義の発露といえる体罰概念を詳細に分類すると、各種の体罰の否定の根拠がそれぞれ違っていること、などが明らかとなった。
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