研究概要 |
「記号論理学」による推論形式を観点として,数学教育学会,日本数学教育学会などの発行されている研究紀要,書籍などにより,「論理的思考力」に関する先行研究について文献調査を実施して先行研究の成果と課題を検討した。その結果、初等教育段階では体系的な論理教育カリキュラムが提案された先行研究も有り一定の効果をあげていた。一方、幼児教育に関しては,体系的な論理教育はほとんど実践されておらず,幼・小学校の連携を図った教育実践は皆無であった。また,「言語力」教育について,教育実践を観点として我が国の動向についても探った。「言語力」に関する指導は,国語教育学からのアプローチが主であった。日本の国語教育においては,「情緒的な読解」に重きが置かれる傾向にあり「論理的思考力」の養成は弱いように思われる。「言語力」には「論理的思考力」が必要であり,教科の枠を越えて数学教育からのアプローチとして「論理的思考力」を鍛え,「言語力」の養成を図ることが期待できることがわかった。 5 歳児,小学校低・中・高学年児童における「論理的思考力」の認識調査を実施・分析を行うために,調査問題を作成して予備調査を行った。調査内容については,5歳児では「遊び」を通して「集合,否定」について,小学校低学年(2年)では「集合,否定,かつ,また」,小学校中学年(4年) では「全て,ある,推論形式」,小学校高学年(6年) では「推論形式,背理法」である。実施した予備調査の結果をもとに、問題修正等を行い本調査問題を作成した。
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