研究課題/領域番号 |
25885110
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
松田 ヒロ子 神戸学院大学, 人文学部, 准教授 (90708489)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 社会学 / 文化人類学 / 東洋史 |
研究概要 |
本研究の目的は日本の植民地支配の経験の記憶が、現在の東アジアの政治、経済、社会的利害関係のもとで再構築される様相を明らかにし、現代世界における歴史認識のあり方を検討することである。とりわけ本研究では、沖縄県と台湾の間の日本帝国期から現在に至るまでの関係に着目する。事例として2011年に台湾北部の基隆市立和平島海浜公園に沖縄系移民を記念する目的で建立された「琉球ウミンチュ像」をとりあげ、その建立をめぐる沖縄、台湾双方における社会、経済、政治関係を分析する。 当初は2014年8月に実施する予定であったが、現地の研究者の協力により、14年3月に、和平島海浜公園の開発と管理を担当する基隆市文化局の局長にインタビュー調査を実施し、基隆市が「琉球ウミンチュ像」を公園内に建立した経緯と、日本の植民地支配と沖縄県民の関与に対する見解を聞くことができた。さらに、文化局から、本研究に関連がある市販されていない資料の提供を受けた。また基隆市内にある国立海洋大学で沖縄と台湾の間の人の移動について研究しているペン・ホウケイ教授と研究について意見交換することができた。台北市にある中央研究院図書館と台湾大学図書館において文献資料を収集した。 2014年3月に沖縄県内において「琉球ウミンチュ像」の建立で指導的な役割を果たした女性に約2時間にわたるインタビュー調査を実施し、建立の経緯や建立後の台湾との関係について詳細に聞くことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた沖縄でのインタビュー調査は実施することができたが、文献調査はあまり進めることができなかった。だが一方で、2014年度に予定していた基隆市内でのインタビュー調査を前倒しで実施することができ、重要な文献も収集することができた。 2014年3月にフィラデルフィアで開催されるアジア研究学会で発表する予定だったが、予算やスケジュールの関係で参加することができなかった。 このように、当初の予定と若干のずれは生じているが、研究目的は今年度中におおむね達成できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年やり残した沖縄での文献調査に力を入れるとともに、昨年度には実施できなかった、台湾の沖縄コンベンションビューロの職員に対する聞き取り調査を実施したい。すでにインタビューへの協力はお願いしており、先方の予定が合えば次回のフィールド調査で実現できると考えている。 申請当時はオーストラリアで開催されるアジア研究学会で報告する予定だったが、スケジュールの関係などから参加をとりやめた。代わりに、6月に米国・ウィスコンシン大学で開催される北米台湾学会において報告予定である。それをふまえて、夏期休暇中に、これまでの研究を英文でまとめる予定である。 また2015年3月に米国・シカゴで開催されるアジア研究学会で研究報告し、本研究の最終的な成果を英語で口頭発表することを計画している。現在、米国在住の研究者らと、パネルを組織することを相談している。
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