本研究は台湾・基隆市立和平島海浜公園に沖縄系移民を記念する目的で建立された「琉球ウミンチュ像」を取り上げ両地域の市民がいかに日本の台湾統治を解釈して公共的なモニュメントを構築し、それはテーマパークという文脈においていかに解釈されているのか検討する。インタビュー調査と資料調査の結果から、私は「琉球ウミンチュ像」が、現代沖縄と基隆の理念化された公的な地域アイデンティティを具象化していると考えた。「琉球ウミンチュ像」建立は、東北アジア地域の市民的交流の成果として評価されるべき点もあるが、一方で実業家が主体となって建立する歴史モニュメントの建立には限界があることも浮き彫りになった。
|