研究課題/領域番号 |
25885111
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
竹原 直美 武庫川女子大学, 音楽学部, 助教 (90707324)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 音楽療法 / 特別支援教育 / 表現 / コミュニケーション / 音声・映像 / 記録・評価・分析 / 心理・生理 / 情報構築・活用・共有 |
研究概要 |
平成25年度は、武庫川女子大学音楽療法研究室に通う発達に心配のある児童を対象とした臨床実践を行い、発達障がい児と重度身体障がい児の事例を対象に、ELANを用いた音声映像の記録・評価・分析に関する基礎研究を行った。 音声映像に注釈をつけることのできるフリーソフトELANを使用した評価では、音楽療法の事例報告書の分析結果による分類をもとに、以下の内容で臨床評価を設定し、臨床データを構築・分析した。今年度は特に、音声コミュニケーションに注目した評価・分析を行った。 1. 音楽活動の種類、2.対象児の表現行動・関わり<身体・声・歌・言葉・音・音楽による表現とやりとり>、3. 臨床関係<対象児と臨床者の遊びの変化からみる社会的発達>、4. 音楽療法の技法<臨床者の関わり方>、4. 音声情報<音の立ち上がり> 音楽療法の臨床場面における多面的な評価項目の時系列表示・分析には、フリー統計ソフトRを用いて、臨床内の多重的な評価項目の関係を同時に可視化して表示するシステムを構築した。音楽療法場面の音声コミュニケーションに関わる基礎的な評価・分析手法の確立により、長時間の音楽活動中にみられる表現行動・相互交流・社会性に関する評価項目を、活動内容や音声情報と照らし合わせて表示することが可能となった。また、どのような活動・臨床関係・技法の場面で、対象児のコミュニケーションが促進されていたかという点を視覚的に把握することができるようになった。 本研究で確立した評価手法は、軽度から重度までの様々な発達的特徴のある児童の音楽的発達・言語的発達のプロセスの研究の発展に貢献できるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
音楽療法の臨床場面における多様な音声コミュニケーションの基礎的な評価・分析手法を確立することができたため、おおむね順調に研究を遂行できたと考えられる。 今後は、臨床応用研究の実施により、臨床のニーズに合わせた評価項目の多様化と細分化、支援者・観察者による評価の円滑化・情報の共有・活用を目指し、さらに詳細な臨床情報の構築・活用に関する研究を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、25年度の「障がい児を対象としたコミュニケーション支援・評価システム構築に関する基礎研究」を活用し、事例ごとにさらに詳細な臨床情報を構築・分析する予定である。次の手順で研究を遂行する予定である。 1. 臨床者・観察者が評価を簡易的に行うための新たなシステムを導入することにより、多量の時系列データと質的データを構築・分析できるような仕組みを整え、得られた情報の共有を図るための臨床応用実験を実施する。 2. 2年間で蓄積された臨床データをもとにして、音楽療法場面における表現・コミュニケーション行動の変化の特徴を調査するための時系列分析を事例ごとに行う。 3. これまでの臨床評価の項目に加えて、身体動作に関する詳細な評価の分類を設定し、生体情報の計測・分析に関する基礎研究を導入する。
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