研究課題
本研究では、企業における「昇進」に注目し、昇進、職能等級、処遇と労働意欲の実態について、いくつかの基本的な統計分析から明らかにすることを目的とした。具体的には、ある日本企業の、企業内人事マイクロデータ(人事部が持つ、賃金・人事評価・勤続年数などの個々人のデータ)と、アンケートデータ(労働意欲などに関する従業員満足度調査)を9年分結合したパネルデータを用いて、従業員の属性や、処遇(賃金等)、昇進、労働意欲の実態等について検証した。特に、昇進昇格のベースとなる「職能等級」について詳しく分析した。分析の結果、職能等級による違いもあるが、同じ職能等級内でも、構成メンバーの属性(学歴、年齢、勤続年数のグループ)がさまざまであること、属性グループによって労働意欲がかなり異なることなどが明らかになった。また、意欲の経年変化等についても確認した。また、人数が少ないものの、高卒と大卒の新卒同期入社グループについて、6年間の昇進を追った、キャリアツリー分析も行った。結果、人事制度の設計通りの昇級パスとなっていることなどが明らかとなった。今年度までの分析では、昇進前あるいは現在の実態に関する分析が主であった。今後の展開に関する計画としては、昇進後に注目して、処遇や労働意欲にどのような変化があるのか、また、昇進と労働意欲等の因果関係の特定、固定効果モデルやランダム効果モデルを用いるなど計量経済学的に高度な統計分析、管理職に注目した分析などを行う必要が指摘でき、これを進めていく予定である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち謝辞記載あり 1件)
Discussion Paper Series, Faculty of Economics, Tezukayama University
巻: J-158 ページ: 1-8