本研究では、ある企業における昇進、職能等級、処遇と労働意欲の実態についてみるため、企業内人事マイクロデータとアンケートデータを結合したパネルデータを用いて、いくつかの基本的な統計分析を行った。特に、昇進・昇格のベースとなる職能等級について詳しく分析した。結果、(1)職能等級によって労働意欲に差がみられること、(2)同じ職能等級内でも、属性(年齢階層、勤続年数、学歴)のグループがさまざまであること、また、それらの違いによって労働意欲に違いがあること、(3)キャリアツリー分析から、新卒入社の数年間については、人事制度の設計通りの昇級パスとなっていること等が明らかとなった。
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