本研究では,日常場面及び医療場面における問題解決方法を相互行為的なアプローチを用いて,日米両国について比較検討を行った.まず医療場面としては,既存のデータとして①救急医療と②女性医療データの文字おこし,整理を行い,特に問題解決場面の抽出を行った.その上で,特に日本の医療場面の問題解決において用いられる相互行為的リソースの特定を行った.次に,日常場面のデータを新たに収集し,その分析を行った.さらに日系アメリカ人博物館で行われる問題解決場面のデータ分析を行った.それぞれの場面,日米のデータにおいて問題解決場面の会話的特徴を抽出した. 結果としては,以下の3点が明らかになった.①まず問題解決の主なプロセスを明らかにした.おおまかには状況の共有,問題の確認,解決方法の交渉などが見られた.これらのプロセスは,日本とアメリカ両方の日常場面で確認された.②上記の状況の共有の為に,相互行為的なナラティブが採用されていることが明らかになった.③交渉のプロセスでは,協働構築された発話が日本のデータで多く確認された.以上の結果は,日本社会学評論やNarrative Inquiryなどの学術誌において学術論文として発表した.
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