本研究の成果は以下の3点にまとめられる。第1に、教育関係のネットワークへのアクセスが少ない貧困問題を抱える保護者は、学校への依存傾向と学校からの回避/忌避の主に2つに大別される点を明らかにした。第2に、前者の保護者の場合、子どもは保護者から放任される傾向が見られ、後者の場合は、子どもも学校や教師とのかかわりを意図的に避けたり断ったりする傾向が見られた。第3に、前者の場合は、教師が子どもと保護者がアクセスしやすい状況を整え、かれらに寄り添いながら安心や信頼を高める支援を行うことが効果的であった。後者の場合は、あらゆる関係機関がネットワークを形成し、保護者と子どもを取り囲む形が求められた。
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