研究課題/領域番号 |
25885125
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 公益財団法人世界人権問題研究センター |
研究代表者 |
杉木 志帆 公益財団法人世界人権問題研究センター, 研究第一部, 専任研究員 (00713033)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 国際人権 / 管轄 / 領域外適用 / 欧州人権条約 / 米州人権条約 / 米州人権宣言 / 米州人権保障制度 |
研究概要 |
通常、条約は締約国領域に限って適用されるが、国際人権法分野では、条約はその領域内外を問わず適用される場合がある。国際人権条約の適用は一見すると場当たり的になされているようにも見え、その適用法理については、今日に至るまで確立された見解がない。そこで、これまで、条約適用を人的管轄に基づく適用と場所的管轄に基づく適用とに分け、これらの分析対象を通して、国際人権条約の適用範囲を規律する法理を明らかにするために研究を行ってきた。 平成25年度は、第一に、欧州人権条約の適用法理に関する研究を行った。また、第二に、米州人権保障制度における国の人権保障義務の範囲を検討するために米州人権宣言及び米州人権条約の適用問題を中心として研究を行った。これらの研究成果に基づいて、欧州人権条約の適用法理については現在論文を執筆中である。また、米州人権保障制度における国の人権保障義務の射程ついては、公益財団法人世界人権問題研究センターの研究紀要において公表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進捗状況にあわせて、公益財団法人世界人権問題研究センターでの共同研究会や京都大学で開催されている国際法研究会において、本研究における議論を行ってきた。また、国際法学会、世界法学会、国際人権法学会といった国内学会へ参加し、多角的な視点から研究を行ってきた。 さらに、ボートにより米国入国を目指すハイチ人への対応に関する米国政府の政策の問題を取り扱ったコロンビア大学のセミナーにも参加することで、国外の議論状況についても実際に確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
・実証研究:国際人権条約の人的・場所的適用法理を明らかにするために、人的適用及び場所的適用が問題となった事例について調査を行う。具体的には、国際人権条約の履行監視機関の見解、判決及び決定を収集し、その分析を行う。 ・理論研究:一般国際法上の管轄権と、国際人権条約における管轄との相違を検討するために、それぞれに関する文献を収集し、人的適用及び場所的適用の観点から分析を行う。 以上の研究成果を踏まえて、国際人権条約の一元的な人的・場所的適用法理を探求する。そのために、引き続き国内外の関連文献を収集し、一元的な適用法理の探求という観点から、改めて文献の分析を行う。最終的に、仮に一元的な国際人権条約の適用法理の存在が否定された場合には、二元的なものとしてこれを体系づける。
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