通常、条約は締約国領域に限って適用されるが、国際人権法分野では、条約はその領域内外を問わず適用される場合がある。国際人権条約の適用は一見すると場当たり的になされているようにも見え、その適用法理については、今日に至るまで確立された見解がない。そこで、これまで、条約適用を人権管轄に基づく適用と場所的管轄に基づく適用とに分け、これらの分析対象を通して、国際人権条約の適用範囲を規律する法理を明らかにするために研究を行ってきた。 平成26年度は、前年度の研究に引き続き、欧州人権条約の適用法理に関する研究をさらに深めた。その研究成果の一部は、公益財団法人世界人権問題研究センターの研究紀要において公表予定である。加えて、米州人権保障制度やアフリカの地域的人権保障の実施に関しても調査を行い、その成果の一部を公表した。
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