研究課題/領域番号 |
25886001
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
横山 俊 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (30706809)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 金属 / 酸化物 / ナノ粒子 / 終端面 / 燃料電池 |
研究概要 |
本研究では燃料電池の実用化を目指し、酸化物ナノ粒子の終端面制御および酸化物と金属ナノ粒子の複合化を検討している。これまで、耐久性向上と白金量低減のため金属酸化物ナノ粒子が研究されてきたが、低い活性が問題とされてきた。金属酸化物粒子は、活性向上のために粒子の終端面・酸素欠損量制御による酸素吸着サイト増加が必要であるが、主流な合成手法である熱分解法などではそれらの制御は難しく、行われていない。一方、申請者は主流な合成法とは全く異なる反応経路(アルコールのエステル化反応)で金属酸化物ナノ粒子を合成可能であることを見出し、報告している。本手法を用いれば、終端面・酸素欠損を制御できる可能性が示唆されている。そこで本手法の詳細な反応機構解析を行い、終端面・酸素欠損制御技術開発を試み、酸化物ナノ粒子の高活性化を達成する。また展開研究として、終端面・酸素欠損を制御した酸化物を、高活性合金ナノ粒子表面上にナノサイズで成長させ、高活性を維持したまま高安定性を付与し、電極材料の耐久性向上と白金フリー化を検討する。 本年度は、燃料電極材料として使用されるSnO2ナノ粒子の合成に成功し、さらに反応温度、合成雰囲気などを制御することによって終端面を制御、金属面で終端することに成功している。また、酸化物ナノ粒子と金属ナノ粒子との複合化のため、コア部となる銅などの金属ナノ粒子の合成に成功している。燃料電池活性については、一般的な評価手法である回転ディスク電極法の測定環境の構築が完了し、2014年度から測定を行う。2014年度は各触媒の活性評価を行うとともに、本手法を展開し、より優れた触媒の開発(耐腐食性を有する第4、5族の酸化物、金属/酸化物のコアシェル)を行うことを計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の2013年度計画では、第4族、5族への金属酸化物の合成および終端面制御まで行う予定であったが、燃料電池活性評価手法である回転ディスク電極法の測定環境構築に大きく時間をさくことを避けられず、合成した酸化物の活性評価を行うことができなかったため、第4族、5族への金属酸化物合成については2014年度へ繰り越しを行った。回転ディスク電極法については、各企業、各大学で測定手順などが異なり、またその影響によって活性が大きく異なることが報告されている。そこで燃料電池を研究する主要な企業、大学を訪問し、測定環境構築の協力をいただき、2013年度中に測定環境の構築することに成功している。また研究の遅延を防ぐために、2014年度に計画をおこなっていた金属ナノ粒子の合成について、2013年度に前倒して実施、成功しているため、2013年度および2014年度を総合して考えれば、大きな遅延はなく、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画については、現在までの達成度で述べたように、一部2014年度に繰り越し、一部2013年度に前倒しをしているので、遅延や大きな問題はないため、変更した計画とおり研究を推進する。今後は合成に成功したナノ粒子の活性の評価を行い、その結果を基に展開研究を行うことで、さらに高耐久性・高活性を有する触媒の合成を行う計画である。そのため、活性評価に問題が生じた場合は、活性評価環境構築の際に、協力いただいた各企業、大学に協力や議論を依頼することで、研究を推進する。また金属、酸化物ナノ粒子の合成については、第一人者の各大学の先生方に研究力およびアドバイスをいただき、可能な限り早く、研究を推進する。 また、合成粒子の構造・物性解析のためには種々の分析の他に、ナノレベルでの加工が必要であり、多くの加工・分析装置を必要とする。管理者との話合いにより、東北大学が保有する必要な装置に関しては、自由に利用することが可能である。さらに、東北大学技術部主任技官の方に、協力していただくことで迅速に研究を遂行する。
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