研究課題/領域番号 |
25886014
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
田原 樹 関西大学, システム理工学部, 助教 (50709095)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | ホログラフィ / ディジタルホログラフィ / ディジタルホログラフィック顕微鏡法 / 蛍光ホログラフィ / 蛍光イメージング / インコヒーレントディジタルホログラフィ / ディジタルオプティクス / 情報フォトニクス |
研究概要 |
本研究課題では,Sparseな分布を前提とした生体分子の3次元動態イメージング達成を将来目標に掲げ,蛍光の単一露光・深度3次元画像記録法の提案とその光学システム開発を達成目的としている。 まず,インコヒーレント光である蛍光の深度3次元画像を単一露光で高画質記録するための,単一露光・共通光路の複数蛍光ホログラム同時記録法を提案し,その光学システムの設計を行なった。フーリエ変換縞解析法,並列位相シフト法に基づくシステムを考案し,数値的に有効性を確認した。空間分解能が通常の光学顕微鏡程度まで見込め,信号対雑音比は単純Gabor型による単一露光記録に比較し100倍弱となることを計算機シミュレーションにより評価した。前記2種の蛍光記録方式の実験的検討のために,基礎実験光学システムを現在構築中である。 像再生処理方法の選定においては,計算機シミュレーションではいずれも高い画質の像を再生できているため,実験的検討も踏まえて今後選定する。また,より広範囲を高い信号対雑音比で像再生可能にする方法を提案したため,選択肢を広げて選定する。信号対雑音比,視野,要する露光時間を総合的に考慮の上で像再生方式,システムの適否を判断する。 複数分子組成の同時高速動画像記録への応用を見据えたときに,複数波長情報を高い光利用効率で記録することが必要である。そこで提案光学システムの機能付加のために,色吸収に頼らない複数波長情報の多重記録方法を考案し,光学システムを設計した。また,考案した方法の有効性を計算機シミュレーションにより確認した。蛍光ホログラム記録システムとの融合も可能で,融合システムの実現が発展課題として挙げられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画した通り,平成25年度の課題である蛍光ホログラム記録方法と実現光学システムの提案,単一露光蛍光ホログラム記録・像再生能力の計算機シミュレーションによる確認,実現光学システムの設計,像再生処理方法の評価を達成できている。そのため,特に遅延なく研究遂行し,光学システムを構築する研究段階へと移行している。 また,計画に加え従来に比してより広範囲を高い信号対雑音比で像再生可能にする方法を提案した。さらに,複数波長情報を高い光利用効率で記録可能にする,色吸収に頼らない複数波長情報の多重記録方法を考案した。そして,考案した方法の有効性を計算機シミュレーションにより確認した。 以上より,当初の計画通りの成果に加え,機能付加が期待できる方法の考案を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
提案方式の単一露光による蛍光3次元画像記録光学システムを構築する。蛍光顕微鏡システムに複数蛍光ホログラム同時記録システムを融合させる。干渉縞画像が構築システムで観察されるかどうかを調べる。構築した光学システムを用い単一露光での蛍光3次元画像記録が可能かどうか実験的に検討する。露光時間と再生像の画質等も踏まえ,時間分解能,空間分解能など構築システムの性能を評価する。空間分解能,時間分解能の両方から,どのディジタルホログラフィ方式が蛍光イメージングに適するかを調べる。今年度の研究に当たっては,原理確認のための基礎実験も踏まえて目的の光学システム開発を達成する予定である。
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