研究課題/領域番号 |
25887005
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高田 了 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50713236)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 回転流体 / Coriolis 力 / 非圧縮性 Euler 方程式 / 非圧縮性 Navier-Stokes 方程式 / 分散型評価 / Strichartz 評価 |
研究概要 |
本年度は,大気や海洋を代表とする大規模流体の運動を記述する,回転による Coriolis 力の影響を取り入れた非圧縮性 Euler 方程式および Navier-Stokes 方程式を考察した.特に,線形時間発展作用素に対する時空積分評価および Euler 方程式の初期値問題の長時間可解性に関して研究を行った. Coriolis 力から生成される線形時間発展作用素の満たす時空積分評価に関して研究を行った.既に現在までの研究において,時空積分評価の成立する最適な許容指数範囲を導出しているが,本年度は微分作用による許容指数範囲の拡張を考察した.相関数をグラフとする超曲面の退化点に着目することで,Coriolis 力から生成される線形時間発展作用素に対し,平面方向および鉛直方向に関する微分作用によって時空積分評価の成立する許容指数範囲が最良の範囲に拡張されることを証明した. Coriolis 力の影響を考慮した非圧縮性 Euler 方程式に対し,その初期値問題の長時間可解性を考察した.特に,長時間可解性を得るための十分条件となる初期速度場の正則性に関して研究を行った.現在までの結果では,同方程式の長時間可解性を得るために 7/2 より大きな Sobolev 正則性が必要であったが,これは通常の Euler 方程式の局所適切性を得るための条件より強い仮定であった.本研究では,通常の Euler 方程式の局所適切性に対する条件と同様に,5/2 より大きな Sobolev 正則性をもつ初期速度場に対して,Coriolis 力付き Euler 方程式の長時間可解性を証明した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究成果は,「研究実績の概要」に記載したように,Coriolis 力から生成される線形時間発展作用素に対する時空積分評価の微分作用による改良,および Euler 方程式の長時間可解性に関する初期速度場の正則性条件の緩和である.これらは研究計画調書に記載した「微分作用による強い分散性の導出」および「渦度方程式に対する分散型評価」に対応する研究成果であり,特に「渦度方程式に対する分散型評価」で記載した研究計画に関しては,平成25年度の研究成果で完全な解答を与えた.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,平成25年度の研究で得られた線形時間発展作用素に対する時空積分評価の応用として,異方拡散をもつ非圧縮性 Navier-Stokes 方程式の時間大域的適切性を証明する.特に,時間局所解の爆発判定法に対して,上記の時空積分評価を応用することを目標とする.また,回転速度を無限大とした際の特異極限問題を考察し,方程式の解が2次元流に漸近することを証明する.特に,現在までの研究で得られた最良の評価を適用することで,方程式の解が2次元流に漸近する最適な関数空間や最良の漸近レートを回転速度の観点から与えることを目標とする.
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