今年度は、主にグラフ理論における問題に取り組んだ。今年度の研究成果は以下の通りである。(1)最小固有値が-1-τ = -2.618… 以上のfat なホフマン・グラフについて、H-ライン・グラフとしての特徴づけを与えた。(2)2つのfat隣接頂点を持つslim頂点を持つような最小固有値が-3以上のfat なホフマン・グラフのスペシャル・グラフの構造の特徴づけを与えた。(3)平面上の有限個の点集合から得られる半順序構造に対応する有向グラフに対し、その競争ハイパーグラフの構造についての特徴づけを与えた。 (4)競争グラフに類似する概念として、ニッチ・グラフがある。実線分の集合から得られる半順序構造に対応する有向グラフに対し、そのニッチ・グラフの完全な特徴づけを与えた。(5)多重グラフに対し、二重多重競争数を新たに定義し、多重グラフの構造とその数の間の関係について調べた。また、その数に対する下界も与えた。(6)有限連結グラフ上のnon-confusingなトラベル・グルーポイドの構造を明らかにし、その個数をグラフの組合せ構造を用いて計算する公式を与えた。(7)無限グラフ上のトラベル・グルーポイドについて研究を行い、無限グラフがトラベル・グルーポイドを持つために必要十分条件を与えた。これにより、Nebeskyの未解決問題の1つを解決した。 また、次のような研究活動も行った。2014年8月には研究集会世話人の1人として「Japanese Conference on Combinatorics and its Applications 2014」をつくばにて開催した。また、2015年3月には研究集会世話人の1人として「The Third Workshop on Spectral Graph Theory and Related Topics」を広島工業大学にて開催した。
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