表面や分子薄膜の電子状態に対し、角度分解紫外線光電子分光は重要な手法である。実験データを解析するため、本プロジェクトでは正確さがより高い計算方法を開発した。まず、量子化学ソフトで光電子の初期状態を求め、多重散乱理論で終状態を計算した。このハイブリッド計算方法でNi表面に吸着したCO分子の吸着位置を求めた。また、全ての状態を多重散乱理論で求める方法を開発した。バンド計算で得られた電子密度から、精度の高いポテンシャルを求めるプログラムを書いた。フルポテンシャル多重散乱理論で求めたグラフェンや酸化グラフェンのX線吸収スペクトルは実験データとよく一致し、通常の計算方法より良い結果が得られた。
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