研究課題/領域番号 |
25887012
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斎藤 俊 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任研究員 (10704215)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 宇宙大規模構造 / 宇宙論 / 銀河サーベイ / 赤方偏移歪み / ニュートリノ質量 |
研究実績の概要 |
本研究は、Sloan Digital Sky Survey第III期(SDSS-III, 2010-2014)におけるBaryon Oscillation Spectroscopic Survey (BOSS)で観測された銀河の、3次元クラスタリング分布における大小スケールの赤方偏移歪みという効果を用いて、一般相対性理論の検証を行うものである。本研究課題では、従来行われてきたような大スケール(10-100Mpc)の赤方偏移歪みの測定に加えて、小スケール(0.1-1Mpc)の情報を用いてダークマターハローと銀河の関係に迫ることを目的としている。 本年度は、準備研究としてSDSS-II銀河に注目し、有質量ニュートリノが存在した場合の宇宙モデルのN体シミュレーションコードを開発し、特に銀河の住むダークマターハローの3次元クラスタリング分布の性質や、ダークマターハロー・銀河関係について再考した。また、BOSS銀河の大スケールの3次元クラスタリング分布を用いてニュートリノ質量の制限を行い、宇宙マイクロ波背景輻射と組み合わせることによって、0.82eV (95%C.L.)というロバストな上限値を得た。 また、BOSS銀河を用いた大スケールの赤方偏移歪みの研究については、フーリエ空間における解析手法の開発を行い、実データに適用する準備を完了した。さらに、小スケールの赤方偏移歪みによるダークマターハロー・銀河関係の研究に関しては、当初予定していた方法論の再考に迫られ、新しい方法論の再考を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
準備研究として、有質量ニュートリノの効果を再考し、理論モデルの系統誤差を再考した論文を発表した。しかし、研究課題の中心であった、小スケール(0.1-1Mpc)の銀河クラスタリング分布を用いた銀河・ダークマターハロー関係の研究については、当初予定したHalo Occupation Dsitribution (HOD)法を再考すべきとの先行研究の結果に伴い、研究方法について見直しが必要であった。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題の中心であった、小スケール(0.1-1Mpc)の銀河クラスタリング分布を用いた銀河・ダークマターハロー関係の研究について、当初予定したHalo Occupation Dsitribution (HOD)法を再考すべきとの先行研究の結果に伴い、研究方法について見直しが必要であった。Subhalo Abundance and Age Matching (SHAAM)法に基づいた新しい方法論を確立し、BOSS銀河に適用することが今後の方針である。
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