本研究では量子色力学(QCD)の極限状況下のダイナミクスを様々な条件下で解析した。まず強磁場および高アイソスピン密度におけるQCDのダイナミクスを汎関数くりこみ群とランダム行列理論を用いて解析し、磁気感受率の温度依存性やディラック固有値の密度依存性の特徴を明らかにした。またクォークがカラーの随伴表現に属する場合にR^3×S^1上のQCD相図を解析し、多様な相転移の存在を明らかにした。格子QCDで負符号問題を解くための有望なアプローチであるLefschetz thimbleの構造をフェルミオン系で初めて体系的に解明した。また5次元の新しい格子ゲージ理論を提案し、その数値シミュレーションも行った。
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