研究課題
本研究では、3d電子系の強相関酸化物を用いた金属量子井戸で発現する軌道選択的量子化が低次元伝導に与える影響を明らかにするため、様々な面方位基板上に極薄膜を作製し、その電子状態を明らかにすることを目的としている。 (110)面方位を持つSrTiO3基板上にSrVO3極薄膜を堆積し、(110)方向への強相関電子の量子閉じ込めを行なうと、(100)基板上のSrVO3と異なり量子化する3d t2gバンドに相違があることが明らかとなった。これは、基板面方位に対するd軌道の向きから説明可能である。また、(111)方向への異種遷移金属Bサイトの交互積層となるダブルペロブスカイト酸化物の合成と物性探索を行なった。これは、(111)方向への量子閉じ込めと見なすことができる。パルスレーザー堆積法によりMn/Feが交互積層したLa2MnFeO6薄膜の合成を行ない、SQUID測定から磁性の発現を明らかにした。また放射光電子分光とX線吸収分光から価電子帯の状態密度を測定し、MnおよびFeの価数が3価であり電子数が(Mn3+)d4-(Fe3+)d5の組み合わせであることを明らかにした。さらに、X線磁気円二色性を用いた元素選択的な磁気状態の評価から、La2MnFeO6においてはKanamori-Goodenough則による理論予測と異なり、Mn-O-Feの超交換相互作用に由来するフェリ磁性が発現することを明らかにした。また、ダブルペロブスカイト酸化物ではその他にもSr2CoRuO6薄膜の合成に成功しており、Co/Ru交互積層に由来する磁性の発現が確認されている。今後、X線磁気円二色性実験を通して、磁気基底状態を明らかにして行く予定である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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