研究課題
組み合わせ論の逆数学研究における、ラムゼイの定理の証明論的強さの確定という未解決問題に焦点を当て、またそれに関連する諸問題について詳しく調べた。最重要問題の解決には至っていないが、関連する重要な周辺問題の解決および組み合わせ論の逆数学研究の計算機科学への応用等の成果を得た。まず、平成25年度より東北大学の村上氏、山崎氏と共同で研究を進めていたラムゼイの定理の弱いバリエーションの計算可能性・証明論双方の立場からの強さを確定することが出来た。さらに、この成果が、トリノ大学のBerardi氏、Steila氏によるラムゼイの定理の証明論的分析によりプログラムの停止性を検証するプロジェクトに応用できることが分かった。この手法について両氏とさらに詳細に研究を進めたところ、上記にのラムゼイの定理の弱いバリエーションに限らず、ラムゼイの定理の有限・無限の諸種のバリエーションがプログラムの停止性(特に計算時間の上界)と密接に関わり合うことが分かった。この成果は、組み合わせ論の逆数学研究が計算機科学に重要な応用を持つことを示している。また、未解決問題であるラムゼイの定理の証明論的強さの確定に関して、前年度に導入したラムゼイの定理の変形版がラムゼイの定理の無矛盾性を主張する命題と同値であることをつきとめた。ラムゼイの定理には有限版と無限版の2種類があり、これまで有限ラムゼイの定理は無限ラムゼイの定理の弱い帰結であると考えられてきたが、上記の結果は実は無限版のラムゼイの定理がある種の有限版のラムゼイの定理と見なせることを示している。さらに、シンガポール国立大学のKreuzer氏との共同研究により、平成25年度の研究の中で課題としてあげていた組み合わせ命題BMEの強さの検証を進め、BMEが特定の順序構造の整序性と完全に同値になることが分かった。このことは今後のラムゼイの定理の証明論的強さの検証に大いに役立つ。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Annals of Pure and Applied Logic
巻: 166 ページ: 219-231
10.1016/j.apal.2014.10.003
Lecture Notes in Computer Science, the proceedings of Computability in Europe 2014
巻: 8493 ページ: 324-332
10.1007/978-3-319-08019-2_33
http://researchmap.jp/read0145758/?lang=japanese