研究課題
金属内包フラーレンは炭素ケージ内に金属を内包した分子である。金属原子からフラーレン殻への電子移動に由来して特異な電子物性や光物性を示すことから、広範囲の応用・実用化の期待されている。しかし、その研究は未だ発展途上である。その原因として分離・精製の困難さや、溶解性の低さといった問題が挙げられる。金属内包フラーレンの科学を発展させるためには、より優れた分離法の開発が不可欠である。そこで、精密に設計したπ共役骨格を有する環状化合物を合成し、その内部へ金属内包フラーレンを選択的に包接化させることで、前述の問題を解決できると発想した。本年度では、剛直なパイ共役骨格とともにスペーサー部分に硫黄原子を挿入した新たな環状化合物を合成し、その化合物を用いた包接の評価を行った。この化合物は簡便に合成でき、多量に供給することが可能である。核磁気共鳴スペクトル、光吸収スペクトル、質量分析などの測定の結果から、ある一定のサイズを持つフラーレンを選択的に包接することができる性質をもつことを見出した。また、理論研究者との共同研究によって、従来にない新たなフラーレンを包接する環状化合物の設計を行い、その包接時の安定化エネルギーなどの評価を検討した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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J. Phys. Chem. C
巻: 119 ページ: 印刷中
10.1021/acs.jpcc.5b00449
ACS Nano
巻: 9 ページ: 印刷中
10.1021/nn507408m