研究概要 |
Crabパルサーのガンマ線スペクトラムが、標準モデルからずれることが2011年までに判明し、新たな放射モデルがいくつか提唱された。それらを検証していくことが本研究の目的であった。 今年度は、MAGICによるCrabパルサーの追加観測および4年におよぶアーカイブデータの解析を行い、二つのパルスピークの間をつなぐようなブリッジ放射があることを発見した。それにより、たとえば磁気圏カスケードモデル(Aleksic et al, ApJ 742, 43, 2011)ではトロイダル方向の磁場が必要になることがわかり、パルサー風散乱モデル (Aharonian et al., Nature 482, 507, 2012)ではパルサー風に特殊なプラズマ密度分布を仮定しない限り難しいことが判明した。Current sheet モデル(Arka & Dubus 2013, A&A 550, 2013)やCyclotron instability モデル(Chkheidze et al., ApJ 773, 2013)では説明ができないことが分かった。 提案書にあるMAGIC望遠鏡のトリガシステムの改良は予定通りすすまず、改良後の望遠鏡でGemingaパルサーを観測するまでには至らなかった。一方低エネルギー事象の解析手法の開発は進展し、25GeVでイベント再構成の成功率を2倍にまですることができた。 CTA大口径望遠鏡の焦点面検出器の開発として、あらたな光検出器、SiPMの開発を開始した。検出器の基本性能を測定している段階だが、今後は大面積光検出装置を構築すべく、ライトガイド、アナログ信号加算回路、および信号整形回路の開発を行っていく。
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