研究実績の概要 |
パルサーのガンマ線放射は、「曲率輻射」であると考えられていた。しかし、Crabパルサーからは100GeVを超える放射が発見され、放射機構の再考が求められていた。磁気圏カスケードモデルや、パルサー風散乱モデルなどが新たに提唱されたが、それらを検証することが本研究の大きな目的であった。 MAGIC望遠鏡でCrabパルサーを追加観測した結果、50 GeV以上のパルス波形にはそれまで知られていた細い二つのピークの他に、ピークを橋渡しするような放射も存在することを発見した。その存在は、Current Sheet モデル(Arka and Dubus 2013), Cyclotron Instability モデル(Chkheide et al, 2013)などを棄却し、パルサー風散乱モデル(Aharonian et al, 2012)にも修正を迫ることとなった。Gemingaパルサーの観測も行ったが、MAGIC望遠鏡で検出するには至らなかった。Crabパルサーとは放射機構が本質的に異なるということが判明した。 CTA大口径望遠鏡のための焦点面検出器の読み出し基板の開発も順調に進み、量産が始まった。性能評価システム構築のため、治具、試験パルスを注入回路、読み出しソフトフェアの開発を行い、完成させた。解析ソフトウェアもほぼ完成し、これから量産品の全数性能評価が始まる。
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