研究課題
本研究の目的は、微小接合におけるスピン依存伝導過程の詳細を明らかにすることである。微小接合に電流を印加すると電荷の離散性に起因する電流ゆらぎ(ショット雑音)が発生する。一方で、電子は離散的なスピンの自由度も持っており、これに起因するショット雑音が存在するはずである。そこで電子のスピン角運動量の流れであるスピン流に注目し、電流ゆらぎ測定系を駆使した研究を行い、以下の結果を得た。強磁性体/非磁性体接合からなる非局所スピンバルブ素子を用いてスピン流をトンネル障壁に印加し、それによるショット雑音の検出に初めて成功した。ここでは、トンネル接合に流れるスピン流と電流を独立に制御することで、ショット雑音に含まれる電流とスピン流の寄与を分離して評価した。その結果、スピン流の絶対値が求まると同時に、ショット雑音とスピン流の比例関係が実証されました。この結果はトンネル過程において電荷とスピンが一体となってトンネルしていることの直接的な帰結である。スピン流の生成にはスピン注入という方法を用いた。この方法では強磁性体から非磁性体にスピン偏極した電流を印加することで非磁性体中にスピン流を生成している。本研究では電流ゆらぎ測定によって電子温度を見積ることでスピン注入による電子系の発熱の影響を評価した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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